開催日時   2005年11月26日(土)  10:15〜17:00

      会  場   名鉄ニューグランドホテル 扇の間

去る11月26日、名鉄ニューグランドホテルにおいて、秋季セミナーが開催されました。
本来は1泊で行う予定でしたが、先の衆議院解散による総選挙のため、急遽日程を変更し、1日に凝縮して行われました。急な変更ではありましたが、約40名の自治体議員が参加し、現在の自治体における様々な問題点についてそれぞれの専門家から講義いただきました。

進行役は事務局長である高木 ひろし愛知県議会議員が務め、開催に先立ち、委員長である中村 友美愛知県議会議員より入会をもっと呼びかけていき、このフォーラムをもっと活発化させていきたい、また、民主党愛知県連代表代行近藤 昭一衆議院議員からはこれからは国と地域とが連携しあっていく大切な時代である、政治や行政がしっかりと対策を取っていくのが求められている、身近な所から身近なことを良く知っている地方議員が国と協力し合ってよりきめ細かい行政・政治サービスを行っていく時代であるとそれぞれ挨拶がありました。
         

 特別講演 「 民主党の新しい自治体主権運動について」  
     
講師 鈴木 克昌衆議院議員  (民主党本部地方自治体局長、元蒲郡市長)
      講師 逢坂 誠二衆議院議員  (民主党本部地方自治体局長代理、元ニセコ町長) 

 
特別講演は元蒲郡市長として地方自治にも力を注いでいた鈴木克昌衆議院議員の講演から始まりました。

 まずは民主党が歴史的な敗北を喫した総選挙の統括から、地方の組織を積み上げて連携を深めている自民党に対抗し得る党を築こうということで、民主党内の「地方自治体局」をより強化するため、逢坂衆議院議員、元知事の福田衆議院議員とともに活動しているという経緯をお話いただきました。

 また、「全国市町村議長会」での一件などいくつか例を挙げながら今の政治が大変おかしい状況になりつつある、日本の将来をどうするかがはっきりしないことが今の世の中をなしている原因なのではないか、弱者と勝者の格差が開いているというお話から、民主党として弱者にとってしっかりと責任を持つということを打ち出すべきなのではないか、と話されました。


 続いて、札幌から駆けつけた逢坂 誠二衆議院議員の特別講演です。
 最初に民主党の新しい自治体主権運動のプロセスを「ふるさと創生一億円事業(1989年施行)」を例にしながら問題提起を含めてお話になりました。
 また、「PRESS民主」を例にとり、永田町から地域に発信するのではなく、逆に地域から発信し、現場の実態を実感できる取り組みをすべきだ、また、党首や幹部が地域・地方での懇談会を開き、メールや文書ではなく生の声をダイレクトに聞く機会を年に3回は設けるべきである、そうした自治体との会合の折に触れて党としての改革を生の声で伝え、それを浸透させていける地域との連携が必要であるという具体的な提案もなされました。

  さらに税金とは「1000円支払ったから1000円分のサービスが受けられる」というわけではないという税金の非公証性について触れ、通常の貨幣に不公平な概念を与えているのが税金であり、ここに権力が介在する、一定のルールで税金を納めてもらい、それをどう使っていくのかを決めていくのが政治の重要な役割であると定義され、1+1=2であるといった経済の合理性だけを追い求め、その次にある「税金でどのくらいサービスのアンバランスさを補正するのか」という部分を議論していない小泉改革は本当の意味での「改革」ではない、と話されました。

  特別講演の後、すぐにまた北海道へと戻られる逢坂議員ですが、その後の質疑応答にも大変丁寧に応対してくださり、会員からも活発な質問が寄せられました。

 第1部  「障害者自立支援法案の今後の動向」
     
 講師 中根 康浩前衆議院議員  (元厚生労働委員会障害者政策 WT)

 先の選挙に触れ、自己紹介を述べられた後、障害者福祉、介護や虐待などの国民生活の身近な問題について、これからは自治体の責務が大きくなってくるという問題提起から講演は始まりました。

  その後は中根元議員が衆議院本会議で質問した原稿などに沿って講演が進められ、応益負担(所得に関係なく一律の費用負担を強いるもの)導入への道のり、介護保険と障害者支援制度との統合案、「自立」に対する政府と当事者との受け取り方の違いなどこの法案に対する様々な角度からの問題点を提起されました。

  障害者の生の声が厚生労働省に届かず、改正もなされないままこの法律は郵政民営化の影で10月31日可決され、来年4月から施行されることとなってしまいました。
この法案をなぜ厚生労働省がここまで急いで通したかったかという背景には三位一体改革がらみの補助金の問題、また介護保険との統合が挙げられます。支援費制度の財源不足から財務省との妥協の結果の産物ともいえるのです。

  支援費制度自体は非常に評価が高く、利用頻度もあがりました。これは応能負担(所得に応じた費用を負担するもの)であること、サービス提供側と対等に話が出来る自己決定の実現、扶養者の費用負担がないという制度であったことから自立心を向上する制度だったためと考えられます。ですが、財源の不足、地域格差の拡大などから問題視されるようになり、今回の自立支援法制定に至ったのです。
 一方、民主党は今回の自立支援法案の対案として、この支援費制度を発展させ、財源の義務的経費化、エッジフリーな経費などを盛り込みましたが、ほとんど反映されないまま成立してしまいました。

  では、今回の法案で何が決定したのかというと、これまでの身体障害者に限っていたものを精神障害者にも適応するサービスの一元化、所得状況が極めて厳しい中での利用者の一割負担(応益負担を障害者に課している国は日本のみ)、光熱費・食費の実費負担、認定制度に基づくサービスの利用区分、医療の一元化(1割の定率負担)、若干評価出来るものには全都道府県及び市町村に平成18年度中に障害福祉計画の策定を義務付けしたこと、義務的経費化の責務を国と自治体に課したこと、規制緩和による民間活力の導入などがありますが、どの問題に関しても障害者のことを知っている人または当事者が意見できる場を設けることが必要です。

  その他、自治体にかかわる部分では、各自治体が独自に支援サービスを組み立てる地域生活支援事業が位置づけられました。これは1割負担外になるため、費用に関しては地域住民の声を反映させられる可能性のある事業ですので、各自治体議会でも議論して欲しいところです。
 特に、移動介護、移動支援がどのように各市町村が展開してくれるのかというのは当事者の最も注目し、よりフレキシブルな対応を要望する部分です。
 また、事業全体の割り振りとしては現場のことは市町村、専門的な部分や専門分野の育成などは都道府県になります。

 このように、この法案は社会的弱者に対する行政のあり方が問われるものであり、自治体の役割が大きくなるだけに、この法案をめぐって今後議会活動をしていくことは大変に意義があることであると締めくくられました。

 第2部  「自治体におけるアスベスト対策」
     
  講師 杉浦 裕医師  (名古屋労災職業病研究会)
       「石綿障害予防規則及び石綿労災補償について」
     
  講師 竹内 和平 愛知労働局労働衛生課長
        講師 伊藤 進   愛知労働局労災補償課長

 まずは名古屋労災職業病研究会で専門的にアスベストによる疾病に取り組んでいる杉浦医師よりアスベストについての基本的な知識を学びました。
 アスベストには6種類あり、そのうち3種類が多用されています。そのうちの2種類に発ガン性が多く含まれているといわれています。不燃性や絶縁性の強さ、品質の不変など非常に便利な物質ということで一時は3,000品種以上のものに使われていました。用途としては建材、摩擦材や布、石綿スレートに使われ、一見したところどこに使われているのかわからないところが問題視されています。
 問題点としてはかなり強い発ガン性があること、潜伏期間が非常に長く、失命率が高い疾病を引き起こす、拡散するため目に見えないということがあります。日本では60年代から90年代に建材として多用されました。(近年は使用量は激減)
 アスベストによる疾病にはアスベスト肺と言われる肺ガン、悪性中皮腫があります。
潜伏期間が長いので、今後こういった疾病被害が増大することが予想されます。 また、本人もアスベストを吸っていた自覚がないため、被害が明確になりにくく、労災認定が難しいという問題点があります。
 厚生労働省は今後5、6万人の被害と予想していますが、専門家は2025年までに30万人から50万人の被害になると提言しています。
 この他、多数のスライドと具体的な数値をあげながら専門的な視点から詳細に病状、治療の困難さや問題点を説明していただき、アスベスト被害の深刻さを実感させられました。

 行政対応が始まったのは大量にアスベストを使用していたクボタが労災を認めたことがきっかけでした。
現在、署名運動や、特別措置法によるアスベスト使用の全面使用禁止を求める運動が行われています。
また、条例による独自の環境測定を行い、届出制の導入や使用制限、除去費用の融資補助を行っている自治体もありますが、地域によって大きな温度差があるのが問題です。
 こういった問題に対する今後の対策として、地域住民が声を上げ、市民ぐるみで指摘していくこと、自治体は国に任せるのではなく、独自に実態を把握しておくこと、民間建築物に対してもアスベストマークなどを制定し、将来の解体などに備えておくこと、補助、融資制度の制定を示唆されました。

 次に、今年7月に施行された石綿障害予防規則を所管する県の労働局竹内課長より各資料の説明がありました。
 石綿に対する規制は製品規制と産業規制があります。
製品規制に関する規制は発ガン性の最も強い品種に対しての生産・輸入等の禁止(昨年10月1日には多品種の原則的な生産・輸入の禁止と施行)があり、日本のアスベスト使用量、輸入量は激減しました。
ですが、まだ約1,000万tの備蓄があります。

 そういった背景を踏まえ、今年7月に石綿障害予防規則が施行されました。
この問題が起きてから、愛知県では全県下に10万部のパンフレットの配布、説明会の実施、被害拡大防止のための監督指導などの対応、相談窓口の設置、健康相談、過去の被害に対する対応、関係機関との連携強化を行いました。
 今後の対策としては、アスベストが使われている建材を使用した建築物に対する安全を確保した上での解体工事の進展促進を行政側として念頭に置いています。

 労災認定については伊藤課長より補償を中心にして話が進められました。
石綿にさらされる業務に従事していたことが疾病の原因であると認められた場合には、疾病の治療に必要な補償、賃金を受けられない場合の補償、遺族に対する補償といった労災補償を受けることが出来ます。
認定の基準は明らかな所見が認められ、期間の長短にかかわらず石綿にさらされる作業に従事したと認められる場合、又石綿の存在が肺に認められ、石綿にさらされる作業に疾病によって一定の期間従事したと認められる場合がポイントになります。
認定の際注意することは、来年の法改正以降、基準が変わる可能性があること、労災認定診断のための通院費用も支給されるようになったことが挙げられます。
今後陳情が増えると想定される問題だけに、熱心にメモを取る会員の姿も多く見受けられました。

 第三部  「住民基本台帳及び戸籍の自治体窓口の取扱いについて」
     
 講師 前田 貢 愛知県市町村課主任主査